クエにチャレンジ

 クエに出会うには  〜


【根がかりをクリア】
 クエに出会うにには乗り越えねばならない難問題がある。その1つが根がかり対策だ。根がかりした仕掛けを外さねば釣りにならない。まずは、図Aの要領で外す努力をする。どうしても外れない時は、根がかり専用竿とディープシャークを使い、100号の道糸を図Bのように切ることになる。


図A)根がかりの外し方(本仕掛使用)


図B)ディープシャーク(根がかり切り)の使い方


【大物外道との闘い】
 もう一つやっかいなのが大型外道である。その一番手がマダラエイやホシエイで、クエ仕掛けにくるのはどれも巨大。前アタリは柔らかく穂先を押さえるだけで、巨大なエイのアタリとは思えない。口が小さいせいだ。だが、エサを飲み込んだ後、深みに向かい疾走するパワーは30`のクエの比ではない。前アタリと早合点し、竿尻を外そうものなら圧倒的なパワーでなぎ倒されるので注意。
 次に多いのがサメ。体全体が黒いトチザメ、白い斑点が特徴のホシザメの前アタリは、跳ねるように穂先を叩いてくる。ネコザメやナヌカザメ(鳥羽地方で食用)はエサ取りのようなアタリが続き、その後50a、1bと柔らかく穂先を押さえていく。これら8〜20`の中型なら問題ないが、100〜300`のアオザメ、ヨシキリザメ、ホオジロザメなどが掛かった時は慌てて勝負に出ず、竿尻に腰を下ろし、敵が激しく引く時はドラッグを緩めて糸を出し、弱めれば左手で道糸を抜き取ってリールを巻く。要領をつかめば対応できる。300`のホオジロザメをかけた時は、磯から船に乗り移り、やっとの思いで糸を巻き取り、ヨリモドシの上で糸を切って難を逃れた。
大型エイの引きに、竿に座って耐える 足元に浮いた80`クラスのエイ
ついに浮かした200`クラスのホオジロザメ



【潮を読み、おびき寄せる】
 クエを釣るには潮を読め、今一度念を押す。沖に潜むクエを足元におびき寄せる。潮の流れによって狙うポイントは変わる。竿を出す位置が決まり撒きエサの準備、凍ったイワシを溶かしたり刻んだりと大変だが、これも怠ってはクエとの出会いはない。仕掛けの準備も終わり、サバをハリにかけて潮上に投入。ポイントに落ち着くとすぐウツボのアタリ。竿をあおると仕掛けに絡み上がってくる。2投目、3投目もウツボだ。「またか」と放っておけば穴に潜られて根がかりと、やっかい者だが友達になろう。クエ釣りはウツボに始まり、ウツボに終わる。ウツボのアタリが途絶えた時は大物が回ってきた証だ。ウツボの猛襲が途絶えて30分、何のアタリもない。上げてみればサバは無傷、そのまま打ち返す。



【ウツボアタリは本命の前ぶれ】
 しばらく待つが穂先はピクリともしない。念のために仕掛けを上げてみる。ハリが仕掛けに絡んでエビになっていた。(図C)当たってこないわけだ。新しいサバに替えて打ち返す。早い潮のせいか穂先がお辞儀したまま戻ってこない。間を置き、ふんわりと戻ってきた。竿尻は固定したまま、そっと持ち上げてみる。「軽い!」急いで仕掛けを上げるとハリの懐に頭だけが残っていた。
 クエがサバを喰いちぎったのか、見落としそうな柔らかいアタリだったのに。クエだ°}ぎ潮上に投入、アタリがあったポイントに仕掛けが落ち着いてすぐ、同じ感じで穂先がもたれこんでいく。息を殺して待つが、戻ってしまう。根がかりに注意して上げてみると、先ほどと同じく頭だけが残っていた。ウツボのアタリが途絶えて5投目、また同じアタリ。今度は素バリだ。これこそがクエの前ぶれだ。竿が舞い込むのを待つ。潮止まり前、サバをくわえ、ゆっくり動き出す。竿尻に構えると同時にうなりを上げ舞い込んだ。リールが悲鳴をあげる。全体重を乗せ、あわせを叩き込む。最初の突っ込み、途中の締め込みに耐え、水面に浮いたところで仲間がギャフを打ち込む。
 以上が、クエの「前アタリ」「合わせ」「取り込み」に至る一連の流れだ。

図C)ハリに仕掛けが絡んだ状態


このサバの残り方はクエのかじった後
取り込みは慎重に!